いま、改めて「あったかサポート設立の意義」を問う

  2005年(平成17年)7月2日に特定非営利活動法人あったかサポートが設立されました。あれから既に6年を経過しました。この間に理事長も交代し、様々な事情で理事も入れ替わりました。設立以来の会員として、あったかサポートの活動を陰、日向で支えて頂いた方もいれば、新しく参加された方も多数います。

  そこで、私たちの活動の一区切りとして今回、現在のあったかサポートの活動の現状に即してホームページの刷新と新しい賛同者を加えたリーフレットの再版を行うことにしました。ついては、この6年間の私たちの活動の理念と社会認識、活動の課題、課題の解決方法を総括的に振り返ってみたいと思います。

  なお、発足当初から我々の活動に参画して頂いた高潔な社会保険労務士・物江和子さんが、昨年この世を去ってしまったことは、残念でしかたありません。社会保険労務士として他に比類のない能力を備えた彼女には、近年のM&Aの際に問われる労働条件審査・労務監査など所謂労働分野のコンプライアンスの普及が企業ニーズとして問われる時代において、おそらく活躍の場が拡がったのではないかと思うととても残念でなりません。彼女の存在と役割は、労使を問わない様々な相談役、労務管理セミナーの講師、そして「あったか情報」など出版物への寄稿や監修、人材の紹介などあったかサポートの活動にとって大変貴重な功績を残していただきました。

  さて、設立当時の設立趣意書によると、当時の状況を「信頼して何でも相談できる人間関係や寄る辺を持たない人々が次第に増えている」とし、「このような時代にあって、普通の勤労者や市民が自立し,将来に希望を持って生きるためには,公的機関に頼りきりの『公助』や何でも『自己責任』に帰してしまう『自助』とは異なる『共助』をキーワードにしたコミュニティーが必要です。人と人の関係を織りなす縁を持つ場であり、その中継地点とネットワークを築くこと」とし、「このような活動を通じて、お互いの自立と助け合いの新しい都市型ネットワークを目指したいと思います。」と謳っています。

  また、それを補うべく「あったか情報」創刊号には、当時の副理事長、中島光孝弁護士による「設立の意義」が掲載されています。曰く、医療、教育、福祉など非市場型の領域でこれまで運営されてきた「分野での『公助』の削減が、経済的・社会的弱者をますます『自助』に追いやる圧力となっているが、経済格差の増大に伴い『自助』の基盤そのものが掘り崩されてきている状況では『自助』など幻想に過ぎない」と状況を鋭く喝破しています。さらに「『共生』という思想のもと、新たに『共助』という考え方を立ち上げ、これを実践していく必要がある。」と宣言し,その実行を呼びかけています。すなわち、これからの日本社会の方向が「自助」や「公助」でもなく、「共助」型で進んで行くであろうと予測しています。

そして具体的実践課題としては、以下の2点を掲げています。

解決の方法としては、次のように整理されています。

  つまり、設立当初の課題は、多様なネットワークの存在を前提に労働と生活上の相談とその解決に向けた支援活動の展開でした。それを支えるために、会報「あったか情報」の季刊発行、研修会の開催、ネットワーク活動が想定されていました。

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